今回は、名古屋市教員採用試験の概要や内容を徹底解説します。
日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、選考内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。
本記事を読めば「試験の全体像から最終合格するには何をすればいいかまで」網羅的に理解できますよ。
※全国の試験内容を「【令和6年度採用】教員採用試験の内容一覧を解説【全国66自治体】」で紹介しているので、併願を考えている人は参考にしてください。
名古屋市教員採用試験の内容
名古屋市教員採用試験とは、名古屋市教育委員会が行う公務員試験(就職試験)の一つです。
名古屋市内の公立学校(小学校、中学校、高等学校など)で働く正規教員を募集するために実施されています。
ここでは、受験資格や試験科目などの内容を解説します。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められる資質や能力も様々です。
名古屋市では、3つの求める教師像を提示しています。
- 専門的な知識と幅広い教養を有する人
- 教育に対する情熱と使命感をもつ人
- 健康な体と豊かな人間性を備えた知・徳・体のバランスのとれた人
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージです。必ず把握、理解しましょう。
年齢制限(受験資格)
名古屋市教員採用試験を受験するには、次の1から3の全てを満たしている必要があります。
- 欠格事由(地方公務員法第16条及び学校教育法第9条)に該当しない
- 志望校種,教科に相当する教諭の免許状もしくは養護教諭,栄養教諭の免許状を所有もしくは令和6年3月31日までに取得見込み
- 昭和49年4月2日以降に生まれている
※令和6年度採用(2023年実施)
募集教科と採用人数
令和6年度採用(2023年実施)試験では、全体で415人の採用を予定しています。
詳細は次のとおり。
校種 | 教科 | R6 | R5 |
---|---|---|---|
小学校 | 200 | 260 | |
中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 115 | 145 |
高等学校 | 国語、地理・歴史、数学、理科、美術、保健体育、家庭、英語、商業、工業(機械系・情報系・建築系) | 30 | 20 |
特別支援 | 55 | 25 | |
幼稚園教諭 | 若干 | ||
養護教諭 | 15 | 15 | |
栄養教諭 | 若干 | 5 |
昨年に比べると、全体で55人減る見込みです。
・令和6年度:415人
・令和5年度:470人
試験日程
名古屋市教員採用試験は7月〜8月にかけて行われています。
出願期間 | 令和5年5月8日(月)〜5月26日(金) |
---|---|
一次試験 | 令和5年7月22日(土) |
二次試験 | 令和5年8月24日(木)、25日(金) |
合格発表 | 令和5年9月29日(金) |
令和7年度から1ヶ月前倒し(一次試験は6月)での実施になります!
名古屋市教員採用試験の日程について、詳しくは次の記事でまとめています。
試験科目(種目)
名古屋市教員採用試験は、二段階選抜方式で行われます。
まず、一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定。
傾向と対策方法は後述しています。ぜひ、参考にしてください。
実施状況
教員人気の低迷が問題視される中、平成24年度には6.1倍という高倍率を記録しました。その後は低下傾向にあり、令和5年度には3.5倍まで下落しています。
直近5年間の実施状況は次のとおり。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 1,646 | 462 | 3.6 |
令和5年度 | 1,639 | 466 | 3.5 |
令和4年度 | 1,738 | 454 | 3.8 |
令和3年度 | 1,849 | 446 | 4.1 |
令和2年度 | 1,899 | 425 | 4.5 |
名古屋市教員採用試験の教科別倍率について、詳しくは次の記事でまとめています。
名古屋市教員採用試験の傾向と対策
ここでは、名古屋市教員採用試験の傾向や対策方法を解説します。
総合教養(教職教養・一般教養)
総合教養試験は、学習指導要領や教育に関する法律などの教師力を測る「教職科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」で構成される筆記試験です。
試験時間 | 40分 |
---|---|
問題数 | 大問6題(小問36個) |
出題形式 | マークシート |
解答方法 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
全校種・教科が同じ問題を解きます。
出題科目
教職教養 | 教育原理、教育法規 | |
---|---|---|
一般教養 | 人文科学 | 国語、英語 |
社会科学 | 日本史、世界史、地理、経済、国際関係 | |
自然科学 | 物理、化学、生物、地学 |
この他、教育時事(学校教育の変化や教育関連のニュースのこと)や名古屋市の教育施策に関する問題もあります。
そのため、文部科学省のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
このように総合教養試験は科目・範囲が膨大なので、出題傾向を把握してから勉強することが重要です。
名古屋市教員採用試験の総合教養について、詳しくは次の記事で解説しています。ぜひ、参考にしてください。
教科専門
教科専門は、志望する校種・科目の専門知識や学習指導要領の理解度を測る筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式、記述式 |
配点 | 50~100点満点 |
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
だいたい、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割以上を占めています。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。そうしないと、何から対策すればいいか判断できません。
現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
教科専門を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
教科専門の勉強方法について、詳しくは次の記事で解説しています。
小論文
小論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
試験時間 | 50分 |
---|---|
文字数 | 500字程度 |
問題数 | 1題 |
配点 | 100点満点 |
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
テーマ例
「つまずく」という言葉から想定されるテーマを想定し、あなた自身の具体的な体験と教育観とを関わらせて論述しなさい。
小論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
名古屋市教員採用試験の小論文について、詳しくは次の記事で解説しています。
個人面接
個人面接は、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが名古屋市の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験です。
試験時間 | 30分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
内容 | ①志望動機、教職関連等 ②自己PR、仕事意識等 ③教職に係る質問 |
配点 | A~Eの5段階評価 |
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
また、集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
質問内容
- 緊張していますか。
- 自己アピールをしてください。
- 志望理由は何ですか。
- なぜ名古屋市の教員を志望するのですか。
- 名古屋市の魅力はどこですか。
- 教師を目指したきっかけは何ですか。
- 中央教育審議会の令和3年1月26日の答申の中で、「2020年代を通じて実現すべき令和の日本型学校教育の姿」として掲げられている「個別最適な学び」と「協働的な学び」とは、それぞれどのようなものですか。
- 文科省の示した「学校における」新型コロナウイルス感染症に関する衛生マニュアル~学校の新しい生活様式~」において、学校での「3つの密」の回避のために、どのような対応が必要であるとされていますか。
- 「チームとしての学校」とは、どのような対応が必要であるとされていますか。また「チーム学校」を進めるにあたって、大切なことはなんですか。
教職員(社会人)としてのマナーや礼儀、清潔感などの基本的な項目から「なぜ名古屋市を選んだのか?」まで幅広く聞かれます。
この質問に論理的に回答し、「名古屋市の教員にどうしてもなりたい!」という熱意をアピールすることがカギです。
また、面接官は学校管理職。名古屋市の教育に精通している熟練者でもあるので、名古屋市の教育施策だけでなく、学校数や児童生徒数などについてもHPをチェックして、名古屋市を深く理解していることをアピールしましょう。
名古屋市教員採用試験の個人面接について、詳しくは次の記事で解説しています。
集団面接
集団面接は、複数の受験者が一つのグループとなりテーマに沿って話し合ったり、質問に回答したりする人物試験です。
試験時間 | 30分 |
---|---|
受験人数 | 4人 |
面接官 | 2人 |
内容 | 面接+討論+場面指導 |
評価基準 | ○自分の考えをわかりやすく伝えることができるか ○子どもの自己肯定感を高め、よりよく成長させようとする姿勢をもっているか ○他者の意見も聞き、教師として大切なことを考えようとする姿勢があるか ○子どもの状況や心情をふまえ、個に応じた指導をしようとしているか |
受験者同士で話し合わせることで受験者の能力や性格を多角的に分析することができます。また、個人面接とは違い相対評価になってしまう点にも注意が必要です。
質問内容
- これまでの自分自身の経験を振り返り,『自分が前向きになれた』場面を想起してください。そして,それはどんな場面だったのか,何がきっかけで,『前向きになれたのか』について,一人ずつ発表してください。
- 『子どもたちが前向きになれるようにするために』教師として大切なことは何ですか。他の人の発表や自分自身の体験を基に,理由を含めて,簡潔に意見を述べてください。
- 皆さんは『小学校5年生の担任』です。『学級活動の時間に,二学期の学級の係を決めます。』子ども同士の話し合いの前に,児童が係活動に前向きになれるように,学級全体に話をします。』先ほどの意見交換も参考にして,話す内容を考えてください。こちら側に児童がいると想定し,1分間で話をしてください。
- 『係が決まってしばらくした後,「係の仕事をしても,あまり喜んでもらえないし,やる気がなくなってきた」と,係活動に後ろ向きになってしまった児童がいます。』教師として,どう対応すべきか,意見を出し合ってください。
- 他の受験者のよいところはどこか。
- 他の人の意見を聞いて思うことを述べよ。
- 指導をして逆効果になってしまった子どもへの対応はどうするか。
集団面接では、自分の意見を言うことも大事ですが、他の受験者のことを考えて行うことが求められます。アピールしたいからといって、長々と話さないようにしましょう。
また、自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することが大切です。
名古屋市教員採用試験の集団面接について、詳しくは次の記事で解説しています。
実技試験
教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
以下の校種・教科を対象に実施されます。
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
名古屋市教員採用試験でよくある質問FAQ
最後に、名古屋市教員採用試験でよくある質問に回答します。
- 過去問について
- 合格ラインについて
名古屋市教員採用試験は難しいのか
近年では「名古屋市教員採用試験は簡単になった」と耳にすることが増えてきました。
たしかに、以前よりも名古屋市教員採用試験の難易度が下がっていることは事実です。
しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
最終合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。
試験内容と傾向を再確認して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。
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今回は以上です。