本記事は、大阪市教員採用試験を受験する方向けの記事です。
- 難易度はどれくらいなの?
- どんな試験なの?
- どうやって対策すればいいの?
このような悩みを解決します!
結論からいうと、大阪市教員採用試験の難易度は高くありません。
試験問題は中学から高校までに勉強してきた範囲ですし、受験倍率も3倍程度だからです。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。

実際、そんなに努力していなくても受かる可能性はあるし、逆にどんなに頑張っても落ち続ける人もいるんですよね…。
そこで本記事では「これから大阪市の教員を目指したい」、「受験勉強を始めたばっかり」という人向けに、大阪市教員採用試験の難易度や本当の難しさを解説します。
採用試験の概要や対策ポイントも紹介しているので、ぜひ参考に受験勉強を始めてみてくださいね。
大阪市教員採用試験とは?概要を紹介します!
大阪市教員採用試験とは、大阪市教育委員会が行う公務員試験の一つです。※大阪市内の公立学校(小学校、中学校など)で働く教員を募集するために実施されます。
まずは簡単に試験概要を紹介します。
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
当然、志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。なので、必ずどんな人物(人間)が求められているのか把握してください。
大阪市教育委員会では、以下3つの求める教師像を提示しています。
- 情熱:教職に対する情熱、愛情、使命感を持ち、困難にも立ち向かえる人
- 教師としての基礎力:広く豊かな教養を基盤とした、専門性と指導力を備えた人
- 人間味:子どもに対する教育的愛情と、カウンセリングマインドを備えた人
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージなので、必ず把握、理解するようにしましょう。
極端にいえば、一定の学力があり、これらの教師像にあなたの人物像がマッチしていれば合格です。
年齢制限(受験資格)
教員採用試験は資格試験と違い、誰でも受験できるわけではありません。受験するには一定の基準を満たす必要があります。
令和6年度(2023年実施)の受験資格は以下のとおり。
- 欠格事由(地方公務員法第16条及び学校教育法第9条)に該当しない
- 志望校種,教科に相当する教諭の免許状もしくは養護教諭,栄養教諭の免許状を所有もしくは令和5年3月31日までに取得見込み
- 昭和39年4月2日以降に生まれている
1~3を満たす必要があります。
試験日程
(3月)
募集教科や採用人数、試験種目などの詳細がアナウンスされます。内容変更がある場合もあるので必ず隅々まで確認してください。
(4月~5月)
電子申請(インターネット)による出願申込が始まります。
(6月下旬~7月中旬)
『筆答テスト(教職・一般教養)、個人面接』が実施されます。
※一般選考の場合
(7月下旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
(8月中旬~9月中旬)
『筆答(専門教科)、人物試験(個人面接、実技試験)』が実施されます。
(10月下旬)
郵送及びホームページに受験番号を掲載。
なお、大阪市教員採用試験の日程は以下の記事でも詳しく解説しています。
試験内容
筆記試験と人物試験の総合試験です
筆記試験 | 教職教養・一般教養 |
教科専門 | |
人物試験 | 個人面接 |
実技試験 |
このように試験内容は幅広いので、やみくもに対策を始めることはNGです。
試験の傾向を理解することから始めましょう。
なお、大阪市教員採用試験の内容は以下の記事でも詳しく解説しています。
実施結果
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2019 | 2,774 | 751 | 3.7 |
2020 | 2,643 | 774 | 3.4 |
2021 | 2,962 | 881 | 3.4 |
2022 | 2,549 | 655 | 3.9 |
2023 | 2,226 | 740 | 3.0 |
なお、大阪市教員採用試験の結果は以下の記事でもまとめています。教科別、一次・二次別になっているので参考にしてください。
大阪市教員採用試験の難易度は?
大阪市教員採用試験の難易度は高くありません。大阪市立大学などの難関大学に合格する方が圧倒的に難しいです。
しかし…。大阪市教員採用試験に合格することは思っている以上に大変です。
倍率はやや低め
【うかりやすい自治体は?】教員採用試験の倍率ランキング!低い(高い)県まとめによれば、令和5年度(2022年実施)は66自治体のうち21番目に低い結果でした。
3~4人に1人は落ちるので簡単とはいえませんが、県庁や市役所などの公務員試験や民間企業に比べれば十分に合格できる現実的な数値です。
》大阪市教員採用試験の倍率はこちら。
試験問題は中学~高校レベル
筆記試験の問題は、これまでに勉強してきた内容が試験範囲です。
なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次は専門教科「数学」で出題のあった問題です。


「整数と余り」という単元で、小学校5年生で学習するような問題の応用です。
算数、数学が苦手な人は少し悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試ぐらいの問題です。
》過去問はこちら。
対策することが多い
大阪市教員採用試験は、”大阪市の教員になる”ための試験(就職試験)です。
そのため、筆記試験の他に面接や実技試験などの幅広い試験が課されます。これが、教員採用試験が難しいといわれる大きな理由です。
選考は段階式で行われ、まず一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れ。
筆記試験だけでも膨大な量があるのに、面接や実技試験の対策も必要でして…。まぁ、マジでシンドイですね。
》詳しい試験内容はこちら。
人物面が重視される
あなたがこれまでに経験してきた入学試験(高校・大学入試)や資格試験では、単純な学力だけが問われ、知識を詰め込んでいれば合格が狙えました。
でも、最終合格するには個人面接や実技試験で好成績をとらなければ、筆記試験が満点でも不合格となるのです。
受験対策となれば、筆記試験(教職教養や専門教養)の勉強ばかりしがちですが、そこに全力を出しても合格できません。
実際に筆記試験で9割を超えていても、面接の出来が悪くダメだった人を何人も見てきました。
そのため高得点を目指して勉強するよりも、筆記試験は6~7割を安定して取れるように勉強し、早めに人物対策を始めることがポイントです。



単純に筆記の点数だけでは合格できないので、努力がそのまま結果に結びつかないってのが最大の難しさですね。
大阪市教員採用試験の対策方法は?コツを解説します!
これから対策を始めるうえで大切なポイントやコツを紹介します。
スキマ時間を活かす
通学・通勤しながら対策することになるので、スキマ時間をどれだけ生み出せるかが重要です。
- 通学時間
- 学校での休み時間
- 食事の前後
- 入浴時間
- 寝る前の10分間 など
全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できるはず。
たとえば1回15分のスキマ時間でも、1年で5,475分(約100時間)も捻出できます。
これを1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返せば、1年で305時間も勉強できることになりますよね。
モチベーションを維持する
対策はやることが多いので…まぁ、シンドイです。
合格するために必要な勉強時間は過去のデータから600時間~700時間ほど。1日2時間の勉強を約1年間続けるようなものです。
モチベーションを長期間保ちながら筆記対策も面接対策もする必要があるため、相当な覚悟が求められます。
想像してみてください、周囲が遊んでいる中で自分だけ勉強漬けの毎日、飲み会やイベントの誘いをシャットアウトしながら勉強に集中して高いパフォーマンスを維持しなければならないのです。
実際、合格を目指して勉強を始める人は多いですが、途中で挫折する人も相当多いです。100人いて30〜50人ぐらい、半分はいなくなります。
教職教養は戦略的に勉強する
筆記試験の中でも教職教養(一般教養)は科目・範囲が広範です。
そのため、教育法規はできるだけ満点をとって、教育時事はメンドウだから捨て科目にして…などと戦略を立てて対策することがポイント。
別に点数(5割~6割)が取れれば、全科目・全範囲を勉強しなくても大丈夫なんですよね。
大事なのは、何を勉強すれば効率よく点が取れるのかってこと。
- 教育原理は5問中5問を正解する
- 教育法規は3問中2問は正解する
- 教育心理は「人格と適応」だけする
- 教育史は捨てる
こんな感じで、勉強する前に戦略を練っておきましょう。



まずは過去問10年分を分析してみて、どの科目・範囲が出ているのか把握してください。主観的に戦略を立てることはNGです。
なお、大阪市教員採用試験の教職教養について以下の記事で出題傾向や勉強方法をまとめています。
面接対策は重点的に行う
最終合格するには、面接試験の評価が重要になってきます。
そのため筆記試験の勉強だけに時間を費やしても最終合格できませんし、今まで面接を受けたことのない初心者が合格基準に達するには、繰り返し練習する必要があるため、かなりの時間が必要です。
すでに面接でA、B評価をもらえる人なら一次試験が終わってからでも十分間に合うかもしれませんが、面接に自信を持てない人がマネすると確実に落ちてしまいますよ。
面接試験で評価を得るには準備が必要です。長所短所を考えたり、志望動機を考えたり…と、かなり時間がかかります。
なので、早めに、できれば試験日の2~3か月前ぐらいから取り掛かるといいでしょう。
なお、大阪市教員採用試験の個人面接について以下の記事で傾向や過去の内容をまとめています。
大阪市教員採用試験に落ちたらどうする?解決策を紹介します
どんなに倍率が低くても、まだまだ落ちる人の方が多いです。
もし、大阪市教員採用試験に合格できなかったら…どうすればいいのでしょうか。
ここでは、3つのケースを紹介します。
臨時講師として働く
- 常勤講師(臨時的任用教員)
- 非常勤講師(時間講師)
講師として教育現場で働きながら、次年度の採用試験を目指しましょう。
受験申込時に、不合格となった場合に講師としての任用に関する連絡を希望するか否かチェックします。
私立教員を目指す
基本的には民間企業と同じように学校独自で求人を出しているので、気になる学校の選考を受けましょう。
採用形態は専任(正規)教諭の他、常勤・非常勤があります。
試験内容は学校にもよりますが、筆記試験(専門科目がメイン)の他に面接や模擬授業などです。
公立学校と違い、私立学校はその学校の教育理念や方針があるのできちんと押さえておく必要があります。
浪人する
講師をすれば教職経験は積めますが、勉強時間の確保が難しくなります。
教職経験を積めば、面接や模擬授業で少しは役に立ちますが、筆記試験で落ちてしまっては意味がないですからね。
もちろん、教職経験を積みながら目指す方も、受かる方もいるので無理ではないですが、効率よく物事を進められない人は注意が必要です。
大阪市教員採用試験でよくある質問FAQ
最後によくある質問と回答を紹介します。
給料はどのくらいですか?
- 大学卒業者:267,400円
- 短大卒業者:242,300円
- 修士修了者:267,800円
※基本給+教職調整額+地域手当の合計
※職歴等がある場合は、一定の基準により加算されます。
※その他、扶養手当や住居手当、期末・勤勉手当(賞与)などが支給されます。
試験での服装は何を着るべきですか?
自由です。
でも、就職試験である以上、スーツ(ジャケットは一応持っていく)着用が無難です。
詳しくは以下の記事で解説しています。
配点は?
大阪市教員採用試験の配点は以下の記事で詳しくまとめています。合格ラインも解説しているので参考にしてください。
過去問はどこでダウンロードできますか?
大阪市教育委員会のホームページで過去数年分の問題と解答が公開されています。
解説はないので本格的な勉強はできませんが、出題内容や形式、レベルの確認に最適です。
なお、大阪市教員採用試験の過去問は以下の記事でも問題と解答まとめています。
まとめ|大阪市教員採用試験の難易度は低い!でも簡単に合格できない
今回は大阪市教員採用試験が難しい理由や概要、対策のポイントまで解説紹介しました。
難易度だけで考えれば、大阪市教員採用試験はそんなに難しくないです。試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も3倍~4倍程度ですからね。
しかし…、合格するのは簡単ではありません。
何となく対策を始める方は多いと思いますが、本気で大阪市の教員になりたい(合格したい)なら次のポイントを理解することが大切です。
- やみくもに、適当に勉強しない
- 出題傾向を踏まえて効率よく対策する
- 人物試験を軽視しない
一つ一つ特徴や傾向を理解して、戦術を持って対策を始めてみてください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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