教員採用試験は自治体によって試験内容が異なります。
そのため、教員採用試験全般の内容を鵜呑みにして対策することはNGです。一般的には必要な試験種目でも、東京都では必要ないってことがあるんですよね。
そこで本記事では、これから対策を始める方向けに東京都教員採用試験の内容や傾向を解説します。

東京都教員採用試験 一次試験の内容
一次試験は筆記試験がメインになっています。
「教員採用試験=人物重視」という傾向にありますが、対策の大半を勉強に充てなければなりません。試験科目を的確に捉え、出題傾向をつかんで対策しましょう。
一次試験の内容は以下のとおり。
- 教職教養
- 専門教養
- 小論文
教職教養
教員として働く上で必要となる学習指導要領や法令などの教師力を測る教職科目に関する択一式の筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
問題数 | 25問(必答) ※一部の問題(2問だけ)を除き、全校種・教科が同じ問題に解答 |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
試験科目 | 教育原理(教育時事を含む) 教育法規 教育心理 教育史 教育施策(東京都の教育に関する問題) |
配点 | 100点満点(1問4点) |
▼こんな問題が出ました▼
-過去問チャレンジ-

教職教養は範囲がとても広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのか、出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
また、教育時事(学校教育の変化や教育関連のニュースのこと)や東京都の教育施策や制度に関する知識を問う問題もあります。そのため、文部科学省や教育委員会のホームページを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。
なお、東京都教員採用試験の教職教養について以下の記事で出題傾向や勉強方法を解説しています。

専門教養
志望する校種・教科の専門知識や学習指導要領の理解度を測る択一式の筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
配点 | 100点満点 |
▼こんな問題が出ました▼
-過去問チャレンジ-


問題レベルは高校~共通テスト(旧センター試験)ぐらいなので、今まできちんと勉強してきた人からすれば難度は高くありません。
しかし、試験時間に対する問題数が多いため、速く正確に解答する力が必要です。
分野別最低点
また、以下の科目は分野別に最低基準点(3割程度)が設定されています。
校種科目 | 分野 |
---|---|
小学校 | 国語、社会、算数、理科、英語 |
中高国語 | 現代文、古典 |
中高地歴 | 地理、歴史、公民、選択分野 |
中高公民 | 地理、歴史、公民、選択分野 |
中高理科 | 共通分野、選択分野 |
中高保体 | 体育分野、保体分野 |
高校農業 | 共通分野、選択分野 |
高校工業 | 共通分野、選択分野 |
特別支援 | 教科等分野、特支専門分野 |
簡単にいえば、総合点が良くても、特定の分野の点数が悪いと落ちるってことです。
ひとつ例を上げてみると…。
▼小学校(100点満点の場合)▼
受験者 | 国語 | 社会 | 算数 | 理科 | 英語 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 20 | 20 | 20 | 20 | 2 | 82 |
B | 20 | 10 | 10 | 10 | 10 | 60 |
C | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 50 |
仮に合格ラインが50点だとすれば、Aさんは不合格、BさんとCさんは合格となります。
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認しましょう。そうしないと、何を対策すればいいか判断できません。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
こんな感じで考えるといいですよ。
なお、東京都教員採用試験の過去問(専門教養の問題と解答)は以下の記事でまとめているので参考にしてください。

小論文
教育テーマについて、社会的背景や自分の教育観を盛り込んで論じる記述式の試験です。
試験時間 | 70分 |
文字数 | 910字~1050字 |
問題数 | 1題 (小学校以外は2題から1題を選んで解答します) |
評価基準 | 課題把握力 教師としての実践的指導力 論理的表現力 文章構成力 国語力 |
配点 | 100点満点 |
▼こんな問題が出ました▼
-過去問チャレンジ-

小論文は教職教養や専門教養と違い解答がないので対策しにくいです。
自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあるんですよね。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
東京都教員採用試験の小論文については以下の記事で詳しい傾向や過去問をまとめています。

以上が東京都教員採用試験の一次試験で実施される試験内容です。傾向をつかんで効率よく対策しましょう。
なお、一次試験の日程や倍率は以下の記事でまとめています。
東京都教員採用試験 二次試験の内容
二次試験は人物試験がメインです。教採=面接重視なので、面接試験でどれだけ点数を稼ぐかが最終合否に大きく関わってきます。
努力に比例して成果が見える一次試験とは違い、面接試験は質の高い練習が必要です。適当にダラダラ練習しても効果は薄いので気をつけましょう。
二次試験の内容は以下のとおり。
- 個人面接
集団面接(令和6年度採用から廃止)- 実技試験
個人面接
個人面接では、 筆記試験では判断できない受験者の人間性や教員への資質・適性、志望意欲などを評価する人物試験です。
志望動機、自己PR等、単元指導計画などについて問われています。
試験時間 | 25分~30分 |
面接官 | 3人 |
面接カード (面接票) | あり ※一次試験の通知に同封 |
評価基準 | 教師への理解 教科等の指導力 対応力 将来性 心身の健康と人間的な魅力 |
配点 | 600点満点(※) |
▼こんな質問が聞かれました▼
-過去問チャレンジ-
- 教師を志望した理由は何ですか。
- 集団討論の出来はどうでしたか。
- 教師はいつから目指していますか。
- 得意分野は何ですか。
- 指導できる部活はありますか。
- 経験したことがない部活動の担当をお願いされたらどうしますか。
- 今までの経験で一番成果を上げた話をしてください。
- 東京都が求める教員像を知っていますか。
- コロナのなかどうやって生活していましたか。
- 子どもたちにどうやって成功体験を積ませていきますか。
- 東京都と他府県で違う点は何がありますか。
- 保護者対応で不安なことはありますか。
- 保護者との信頼関係をつくるうえで大切にしたいことは何ですか。
- モンスターペアレントといわれる保護者がいた場合,どのように対応しますか。
個人面接では、1人の受験者に対して集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
集団面接(討論)とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
面接は練習量に比例して徐々に上達するので、苦手意識が少しでもある人は早めに準備してください。
面接練習をすることで、
- 自分の長所や短所
- なぜ教員になりたいのか
- 教員になって何がしたいのか
といった部分を改めて確認できます。自分と向き合う良い機会なので、時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
なお、東京都教員採用試験の個人面接については、以下の記事で過去の質問などをまとめています。

集団面接(討論)
複数人の受験者同士が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
試験時間 | 40分 |
受験者 | 3人~5人 |
テーマ | 事前にHPで発表、当日指定。 |
評価基準 | 表現力 説得力 調整力 協調性 |
配点 | 600点満点(※) |
▼こんなテーマが出ました▼
-過去問チャレンジ-
- 思考力、判断力、表現力に関すること
- 自主的、自発的な学習に関すること
- 協働した学びに関すること
- 勤労や社会貢献に関すること
集団面接(討論)では、自分の意見を言い、他の受験者の意見を受け入れ、それらを組み合わせて最適な解決策を見つけることが求められます。
自分一人だけが目立つのではなく、周りのメンバーと協力する姿勢で臨みましょう。
なお、東京都教員採用試験の集団面接については、以下の記事で過去のテーマなどをまとめています。

実技試験
教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
中高共通、小中共通、特別支援学校の志望者で以下の教科と小学校(英語コース)のみ実施されます。
- 小学校(英語コース)
- 音楽
- 美術
- 保健体育
- 英語
▼こんなテーマが出ました▼
-過去問チャレンジ-

何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。
そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
以上が東京都教員採用試験の二次試験で実施される試験内容です。傾向をつかんで効率よく対策しましょう。
なお、二次試験の日程や倍率は以下の記事でまとめています。
東京都教員採用試験の試験内容まとめ
今回は東京都教員採用試験の一次試験と二次試験の内容を紹介しました。
試験=ペーパーテストと思う人は多いですが、教員になるための就職試験です。なので、面接や小論文などの幅広い試験が課されています。
再度、試験内容をまとめます。
一次試験 | 教職教養 |
専門教養 | |
小論文 | |
二次試験 | 個人面接 |
実技試験 |
このとおり多いです。
やみくもに対策するのではなく、きちんと傾向を理解してから進めてください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
》東京都教員採用試験の配点と合格ラインは以下の記事で解説しています。併せて確認してください。
