一口に教員採用試験といっても、試験内容や傾向は自治体によって異なります。
そのため、「どうやって(何から)対策すればいいかわからない」という人は多いです。
限られた時間を有効活用するには、対策を始める前に内容や傾向をしっかり理解することが重要。
本記事では、埼玉県教員採用試験の内容(一次試験、二次試験)を解説します。傾向や対策方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
*他自治体の内容について、詳しくは「【令和6年度採用】教員採用試験の内容一覧を解説【全国66自治体】」をご覧ください。
埼玉県教員採用試験の内容
ここでは、埼玉県教員採用試験の内容を紹介します。
試験ごとの傾向や対策ポイントも解説しているので、参考にしてくださいね。
一次試験の内容
一般教養・教職科目
「教職教養科目(学習指導要領や学校教育に関する法律など)」と、「一般教養科目(高校までに学んだ基礎学力)」で構成される筆記試験です。
全校種・教科が同じ問題を解きます。
試験時間 | 60分 |
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問題数 | 44問 |
試験科目 | ・教職教養 ・人文科学 ・社会科学 ・自然科学 |
出題形式 | 穴埋め問題、正誤問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点 |
教育原理や国語・数学・英語といった、これまでに勉強した内容が多く出題されます。しかし、出題科目数は10以上もあるため、適当に進めることはNGです。
勉強を進める前に「どの科目で点を取るのか」、「よく出る(まったく出ない)分野はどこか」といった、出題傾向を理解してからスタートしましょう。
詳しい出題傾向等は、次の記事で解説しています。
専門教科・科目
専門教科は、志望する校種・教科の専門知識や学習指導要領の理解度を測る択一式の筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
だいたい、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割以上を占めています。
概要は次のとおり。
試験時間 | 60分 |
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問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
得意とする受験者は多いです。専門教科で点が取れないとピンチなので注意しましょう。
専門教科の対策は、次のステップで進めるといいでしょう。
- 過去問を解き、現在の学力レベルを把握する
- 基礎学力が不足している(5割以下の)場合は、高校受験用などの教材で基礎固めから始める
- すでに7割以上取れているなら、教員採用試験用の教材で出題傾向や問題形式に慣れる
- 最終的に、たくさんの問題を解いて学力を上げる
専門教科を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、厚く勉強することが大事です。
詳しくは次の記事で解説しています。
二次試験の内容
小論文
小論文とは、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験のことです。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間 | 60分 |
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文字数 | 800字 |
問題数 | 1題 |
出題形式 | 教育課題等に関する内容 |
配点 | 50点満点 |
試験時間は全校種共通で60分、文字数は800字です。
小論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
過去のテーマや対策方法はこちらの記事でまとめています。
集団面接
試験時間 | 30分 |
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受験人数 | 5人程度 |
面接官 | 3人 |
集団面接は、複数の受験者が一つのグループとなり、同時に面接を受ける形式です。1グループの人数は5人で、全体を通して30分程度で行われます。
集団面接では、同じ質問を受験者に問い、回答させることで受験者の能力や性格を多角的に分析することができます。また、個人面接とは違い相対評価になってしまう点にも注意が必要です。
面接官の質問に回答するときは、他の受験者のことも考えて端的に行うことが求められます。アピールしたいからといって、長々と話さないようにしましょう。
また、自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することが大切です。
なお、集団面接で聞かれた質問などはこちらの記事を参考にしてください。
実技試験
実技試験とは、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
対象校種・教科は以下のとおり。
中学校 | 理科 | ・観察、実験の技能に関すること。 ・観察、実験の安全指導に関すること。 |
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音楽 | 弾き歌い及び場面指導:「大地讃頌」の当日指定された箇所を弾き歌いし、その箇所について授業を想定した場面指導を行う。 | |
美術 | 絵画:平面及び立体(課題は当日指定) | |
保健体育 | ①マット運動 ②跳び箱運動 ③ハードル走 ④走り高跳び ⑤バスケットボール ⑥バレーボール ⑦柔道 ⑧剣道 ⑨創作ダンス:テーマは「自然現象」とする。 ⑩現代的なリズムのダンス:曲は「第 1 0 回全国小・中学生リズムダンスふれあいコンクール自由振付曲『Mela! 』 | |
技術 | 次の①~④の中から当日指定された課題についての実技 ①「A材料と加工の技術」に関すること ②「B生物育成の技術」に関すること ③「Cエネルギー変換の技術」に関すること ④「D情報の技術」に関すること | |
家庭 | ①布を用いた製作:手縫い及びミシン縫い等 ②日常食の調理:基本的な調理操作及び食品の衛生的な扱い方等 | |
英語 | ・英文の音読:与えられた英文を範読する。 ・英問英答:音読した英文の内容や英語指導に関する質問に英語で答える。 ・英語による場面指導:与えられたテーマに沿って、英語による場面指導を行う。 | |
高等学校 | 保健体育 | ・器械運動:マット運動 ・陸上競技:ハードル走 ・球技:ソフトボール ・武道:剣道 ・ダンス:創作ダンス(即興表現) |
音楽 | ・自由曲の演奏 ・弾き歌い:「Caro mio ben」「春への憧れ」「小さな空」「この道」から指定された1曲。 | |
美術工芸 | ・絵画作成 ・ポートフォリオの提出 | |
書道 | ・漢字の書の臨書 ・仮名の書の臨書 ・漢字の書の創作 ・仮名の書の創作 ・漢字仮名交じりの書の創作 ・漢字又は仮名の書の創作 ・硬筆 | |
英語 | 英語による個人面接 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
個人面接
試験時間 | 25分 |
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面接官 | 2人 |
形式 | 個人面接+場面指導 |
個人面接は、あなた1人に集中して様々な観点から話を聞けるため、あなたの特性を正確に評価できます。
たとえば、「どんな学級づくりをしたいですか」という質問に「笑顔があふれる学級」と回答しただけでは、まだあなたに教育的愛情やコミュニケーション能力があるかは判断できません。
そこで、「なぜ、笑顔があふれる学級にしたいのですか」とか「笑顔が苦手な子どもがいたらどうしますか」など、より理解を深めるために掘り下げた質問をして、正確に評価を行えるような情報を聞き出し、評価するのです。
より具体的な情報を面接官に伝えることができるかどうかが合否を分けるポイントなので、自己分析に時間をかけて語れるように準備しましょう。
集団討論
試験時間 | 40分 |
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受験人数 | 8人 |
面接官 | 3人 |
複数人の受験者同士が1つのグループになり、与えられたテーマにそって討論する(話し合う)試験です。
集団討論では、自分の意見を言い、他の受験者の意見を受け入れ、それらを組み合わせて最適な解決策を見つけることが求められます。また、発言した順番や回数が重視されるわけではなく、コミュニケーション能力や貢献度といった、全体が評価対象です。
そのため、自分一人だけが目立つのではなく、周りのメンバーと協力する姿勢で臨みましょう。過去の出題テーマなどはこちらの記事を参考にしてください。
埼玉県教員採用試験でよくある質問FAQ
埼玉県教員採用試験でよくある質問に回答します。
※青字をクリックすると、読みたい項目まで移動できます。
埼玉県教員採用試験は難しいのか
近年では「埼玉県教員採用試験は簡単になった」と耳にすることが増えてきました。
たしかに、以前よりも埼玉県教員採用試験の難易度が下がっていることは事実です。
しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
最終合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。
試験内容と傾向を再確認して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。