近年では「京都市教員採用試験は簡単になった」と耳にすることが増えてきました。
たしかに、以前よりも京都市教員採用試験の難易度が下がっていることは事実です。一方で、何年、何十年も落ち続けている人がいるのも事実です。
はたして、京都市教員採用試験は難しいのか?簡単なのか? どちらでしょうか。
結論からいうと、京都市教員採用試験の難易度はそんなに高くありません。しかし、合格することは想像以上に難しいです。
本記事では、京都市教員採用試験が難しい理由から合格するための対策方法を徹底解説します。
この記事を読めば、京都市教員採用試験が難しい理由や試験内容を理解したうえで、どうすれば合格できるのかイメージを持てるようになりますよ。
京都市教員採用試験が難しい3つの理由|難易度
京都市教員採用試験に合格することは想像以上に難しい(大変)です。その理由は次の3つ。
- 競争試験だから
- 試験内容(科目)が多いから
- 人物重視だから
競争試験だから
京都市教員採用試験が難しい理由の一つは、競争試験であることです。
この試験では、限られた採用枠に対して、上位の成績を収めた受験者から順に合格する仕組みとなっています。
つまり、基準点を超えれば全員合格もありえる資格試験とは違い、ライバルたちとの競争によって合否が決まるのです。どれだけ努力して高得点を取っても、周りがあなた以上に点数を取っていれば合格できないんですよね…。
また、資格試験(英検や簿記など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、合格点は、採用人数や受験者数によって変動します。
そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、勉強の方向性を見失いやすいという問題もあるのです。
試験内容(科目)が多いから
京都市教員採用試験が難しい2つ目の理由は、試験内容(科目)が非常に多岐にわたることです。筆記試験だけでなく、面接や小論文も含まれています。
特に、教職教養という科目は、大学の教職課程で初めて学ぶ内容から出題される厄介な試験です。
この科目の出題範囲は非常に広く、教職に関する原理や法律に加えて文部科学省や教育委員会の資料など多岐にわたるんですよね…。そのため、幅広い知識と理解力を持ち、それぞれの科目に対して十分な対策を行う必要があります。
実際に、合格を目指して勉強を始める多くの受験者が、試験内容の多さに直面し苦悩することとなります。
筆記試験の勉強だけでも膨大な量がありますが、さらに面接や論文の対策も必要となりますからね。受験勉強の期間や時間配分の難しさから、途中で挫折する受験者も少なくありません。
人物重視だから
賢い(頭が良い)だけでは、合格できないことも理由のひとつです。
京都市教員採用試験の最終合格者は、「二次試験の結果」をもとに一次試験の点数を加えて決定されます(京都市教育委員会)。筆記試験でどれだけ点数を取っても、人物試験で評価されないことには合格できないのです。
このような人物重視は、京都市教育委員会が教員採用において「質の高い教師の確保」を目指しているからです。ただ知識を持っているだけではなく、子供たちの教育に情熱を持ち、真摯に向き合い、育成に努める教師を求めているんですね。
人物重視の選考方法によって、京都市教員採用試験は他の資格試験とは一線を画しています。単に知識や技術のみを問うのではなく、人間性や教育者としての資質を総合的に判断し、最終的な合否を決定するのです。
受験対策となれば、筆記試験の勉強ばかりしがちですが、そこに全力を出しても合格できません。実際に筆記試験で9割を超えていても、面接や論文の出来が悪くダメだった人を何人も見てきました。
そのため、高得点を目指して勉強するよりも、筆記試験は6~7割を安定して取れるように勉強し、早めに人物試験対策を始めることが最終合格には必須と言えるでしょう。
このように、京都市教員採用試験に合格することは思っている以上に難しいです。
京都市教員採用試験の概要|内容
京都市教員採用試験は、京都市内の公立学校で働く正規教員を決める公務員試験のひとつです。まずは、どんな試験なのか令和6年度採用(2023年実施)の概要を紹介します。
主な変更点
- 加点制度の新設
-
小学校教諭志願者のうち、「数学」「理科」「保健体育」「英語」のいずれかの中学校または高等学校の普通免許状取得・取得見込者に、第1次試験において加点する制度を新設します。これに伴い、小学校英語教育推進コース及び理科教育推進コースは廃止。
- 追加合格制度の新設及び補欠合格制度の廃止
-
第2次試験結果の通知後、出願区分によっては合格者を追加する場合があることとし、この場合、令和5年12月31日までに追加合格者にその旨を通知します。
受験資格(年齢制限)
以下の3つを満たしていることが条件となります。
募集教科と採用人数
令和6年度(2023年実施)に採用を予定している校種・教科と人数は以下のとおりです。
小学校 | 90 | |
---|---|---|
中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 60 |
高校 | 国語・地理歴史・数学・理科(物理、化学、生物)・英語・情報・工業(機械、電気・電子、建築・土木) | 15 |
総合支援学校 | 50 | |
養護教諭 | 10 | |
栄養教諭 | 若干 |
試験日程
一次試験日 | 1日目:令和5年6月24日(土) 2日目:令和5年6月25日(日)~7月2日(日) |
---|---|
二次試験日 | 令和5年8月19日(土)、20日(日) |
京都市教員採用試験の日程はこちらの記事で詳しくまとめています。
試験内容
京都市教員採用試験は、筆記の他に、小論文や面接など幅広い試験が課せられています。
一次試験 | 一般・教職教養 | 30点 |
---|---|---|
専門教科 | 100点 | |
実技試験 | 30点 | |
個人面接 | 70点 | |
二次試験 | 論文 | 20点 |
集団討議 | 35点 | |
模擬授業 | 60点 | |
実技試験 | 30点 |
総合的に評価されるので、バランスよく対策することが重要です。
より詳しい京都市教員採用試験の内容はこちらの記事でまとめています。
京都市教員採用試験の実施状況|倍率
ここでは、京都市教員採用試験の実施状況(倍率)を紹介します。
令和5年度(2022年実施)
2022年に実施された令和5年度採用試験の倍率は、全校種・教科を合わせて5.7倍でした。
- 受験者数:1,326人
- 合格者数:233人
- 倍率:5.7倍
過去の推移
これまでの実施状況(受験者数、合格者数、倍率の推移)は以下のとおり。
採用年度 (実施年) | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和5年度 (2022年) | 1,326 | 233 | 5.7 |
令和4年度 (2021年) | 1,567 | 307 | 5.1 |
令和3年度 (2020年) | 1,764 | 362 | 4.9 |
令和2年度 (2019年) | 1,621 | 322 | 5.0 |
平成31年度 (2018年) | 1,742 | 283 | 6.2 |
なお、京都市教員採用試験の倍率はこちらの記事で詳しく分析しています。
京都市教員採用試験でよくある質問FAQ
最後に、京都市教員採用試験でよくある質問に回答します。
- 過去問はどこでダウンロードできますか?
- 合格ラインは何割くらいですか?
過去問はどこでダウンロードできますか?
京都市教員採用試験の過去問はWeb上にアップされていないため、ダウンロードできません。
試験問題と解答は、『京都市情報公開コーナー』で閲覧・コピーできます。解説はないので本格的な勉強はできませんが、出題内容や形式、レベルの確認に最適です。
その他、教員採用試験の過去問を入手する方法をこちらの記事で解説しています。
合格ラインはどれくらいですか?
京都市教員採用試験の合格ラインは公表されていませんが、過去の受験者データから教職6割、専門6割〜8割がひとつの目安になります。
もちろん、校種や教科によって差はありますし、競争試験なので変動する点は注意が必要です。教員採用試験の合格ラインについては以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ|京都市教採の難易度は高くないが簡単ではない
今回は、京都市教員採用試験の難易度や概要を徹底解説しました。
京都市教員採用試験の難易度は、そこまで高くありません。しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
採用試験に合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。出題傾向を把握して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。
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